「ありがとう……」

「いえ。でも、ここ買いにくくないですか?」


不思議と安らぎを感じる温かな声の持ち主は、「そうだ」と言って、両手をパチンと合わせる。

「ちょっと良いですか?」

彼女は僕の背後に回り込み、僕の乗っている車椅子をくるりと方向転換すると、小走りに食堂近くの自販機まで押して行ってくれた。