初夏とは言え、その日は珍しくジメッとしていて汗が滲む。

そんな暑い日の午後だった。

僕は、少しでも涼を取れる木の下で車椅子を止めると、一日も早くアメリカへ帰る事を考えていた。

両親はああ言ったけど、僕は日本のハイスクールにそんなに長く通うつもりなどなかった。

日本の気候に上手く馴染めないものを感じていたし、取り分け、うっとうしくまとわり付く高温多湿の日本独特の風土は僕のあらゆる判断を鈍らせると感じたからだ。

それに結局、おばあ様は僕がどんな格好だろうとお気に召さないらしい……。

僕を見るたびに、露骨に毛嫌いしていたから、日本の滞在もそう長くはないだろうと思ったんだ。