父の診断によると、4年前の事件の後遺症ではないかとのことだった。

「ただ、専門外だから……。確信は出来ない。日本に私の知り合いで、眼科の権威がいるんだ。一緒に日本に行って治療を受けてみないか」


父の突然の申し出に、僕はこのアメリカでまだやらなくてはならないことがあるから即答はできないと言った。

「徹。おばあ様、覚えているかしら。実は、痴呆症を発症されていて、私達に日本に戻って来て欲しいとおじい様からご連絡があったの」

母に帰国を懇願される。