キンケイドは「一服やるか?」と僕にタバコを差し出す。

僕が頭を横に振ると「そうか」と肩を竦めながら、自分の煙草に火をつけて煙をくゆらせ始めた。


さわさわと優しい風が川面を滑り、森の中へと駆け抜けていく。

「……思い出すなぁ」

キンケイドは遥か遠くの空を仰ぎ見る。

「昔、フライ・フィッシングが得意な友人に良く川へと連れ出されたんだよ。オレは下手くそでな。良くヤツに笑われたよ」