「ハルナ!こんな時間に一体、どこに行くの?!」

ママが、リビングから叫ぶ。

「ごめん。ちょっと、コンビニ!直ぐ帰るから!」

私は、急いで靴を履いて傘を2本抜き取ると、トオル君が幻のように消えてしまわないよう願いながら玄関の扉を開ける。

「トオル君!まさか、あれからずっと外にいたの?」

「うん」

「ちょっと待ってて、タオル取ってくる」

家に入ろうとする私の手を彼が掴み、私をその胸に抱きしめる。

「……君に逢いたくて、気付いたらここに来てた」

「トオル君……」

冷たい雨が、私たち2人を濡らしていく……。