「違うの。トオル君、この人は……かずにぃはお兄ちゃんみたいな存在じゃないの。私がずっと、好きだった人なの」

「ハルナ!今は何も言わなくていい。帰るぞ」

私の肩に手を置くかずにぃの手を振り払う。

「ごめんなさい。私、ずっと、気付かなくて。ううん。気付かない振りしてて……。
でも、気付いたの」

かずにぃが強引に私の腕を掴むと、引きずるように車道へと連れて行こうとする。

「ごめんな。トオル君、とりあえず、こいつ、連れて帰るから」