かずにぃは、車道を横切って、走っている車を縫うように私たちの方へ渡ってくる。

「ハルナ、大丈夫か?さっきおばさんから連絡があって……。ちょうど今、病院へ迎えに行くところだったんだけど。なんで、びしょ濡れなんだよ。傘は?」

かずにぃは雨に濡れた前髪をかきあげながら、何も答えないままうつむく私の肩に手を回す。

「とにかく車に乗れよ」

「ハルナ、この人、誰?」

トオル君が私の手を掴んで自分の方へ引き戻す。

「トオル君……」

かずにぃは、このとき初めて私の隣りに立つトオル君の存在に気付いたようだった。