「どうした?ハルナ!」

異変に気付いたトオル君が心配そうに私の顔を覗き込む。

「顔色が悪い」

トオル君が、次の駅で私を抱きかかえ、電車から降ろす。

トオル君は、ますます呼吸がひどくなる私を心配して駅員さんに救急車の手配を頼むと、その間ずっと背中を撫でてくれていた。

私は、この優しいトオル君を裏切ったんだ。

謝っても謝りきれない。

このまま、死んじゃいたい。

そう考え始めると、呼吸がコントロール出来なくなってきた。

「ハルナ!落ち着くんだ!!」

トオル君の叫ぶ声が遠く頭の中で響いてくる。

彼に真実を告げる位なら、死んでこのまま地獄に落ちた方がいい……。

私は、彼の腕の中で暗闇へと落ちていった。