「今、抱いたらきっと後悔する。でも、抱かなかったら、どの道、後悔するんだ。
だったら……」

「やっ!離して!かずにぃ!!私……私……は、トオル君が好きなんだよ?!」

私は力をこめて、かずにぃの手を振りほどく。

かずにぃは、言葉を詰まらせながらトオル君の名前をつぶやく。

「トオル……。そいつ、トオルって言うのか。藤枝……トオル……」

「かずにぃ……っ!」

「トオルからお前を奪う」

かずにぃは私の腕を掴むと、どんなに抵抗しようともう二度と離してはくれなかった。