私は泣きながら走った。

家に帰ると、ベッドにつっぷして強く目をつぶった。

そして、たくさん泣いて、泣いて、泣いて……。

ゆらりとベッドから起き上がると、ベッド脇にあるドレッサーの引き出しを引いた。

鏡に映る自分の姿。

長く伸びた髪が、沙代子のお姉さんと被る。

ずっと伸ばしてきた髪。

かずにぃのことを想って、九州に行ってからもずっと伸ばしてきた髪……。

「いつか……いつか、会えるって……。かずにぃに……想いが届くって……」

私は引き出しから、はさみを取り出すと髪に当てた。

「伝えることも出来なかった……」

私ははさみをぐっと握り締めると、バッサリと髪を切り落とした。