その夜はなかなか寝付けなかった。

私はすやすやと寝息を立てて眠るトモとスズを起こさないように、そぉっとベッドから抜け出すと、カーディガンをはおって外へ出た。

洋風の別荘の中にはキレイに手入れされたパテオがあった。

「すごい。どの花も手入れが行き届いてる」

私がベンチに腰を下ろそうとすると、微かにピアノの音が聞こえてきた。

誰が弾いてるんだろう。

何だか心に染み入るような切ない曲……。

私はピアノの音のする方へ歩いていった。