気が遠くなりそう。

唇を離す間もないキス。

波の音も、月の光すらももう私には届かない。

感じるのは藤枝君の体温と吐息だけ……

私は、この時、はっきりと自分の気持ちに気が付いたんだ。

「……好き」

私が本当に好きな人は、藤枝君だったんだ。

「藤枝君が……好き」

「トオルだよ。僕の名前を呼んで」

「トオル……君?」

「うん」

「トオル君……好き」

私の言葉に「嬉しいよ」と、はにかむように呟くと、トオル君は、私のまぶたに、頬に、軽くキスを落とし、それから、めまいのするような深く甘いキスをする。