フロントではおばさんが、心配そうに小窓から顔を出して尋ねてきた。

「おや。日本語の上手な外人さん。彼女は大丈夫だったかね?」

「先程は、湿布、どうも有り難うございました。助かりました」

頭をペコリと下げて、藤枝君がお金を払おうとすると、そのお金をおばさんが差し戻す。

「いいんだよ。彼女がそんなんじゃ、どうせなぁんにも出来なかったんだろ?」

おばさんは藤枝君に同情しつつ、手を横に振りながら言った。

受け取りを固辞するおばさんにお礼を言って、私達はホテルを後にした。