聞こえてくる音楽の合間を縫って、時折、隣りの部屋から、男女の喘ぎ声と、ベッドの軋む音が聞こえてくる。

しかも、ふとしたときに、藤枝君と目が合ってしまう。

彼も意識しているのが、目から伝わってくる。

私は真っ赤な顔を見られるのが恥ずかしくて、とっさに彼から目を背けて、顔を手で覆う。

隣りからの喘ぎ声は段々激しくなってきて、もう音楽なんかでは掻き消せない……。

しばらく下を向きながら無言だった藤枝君が、不意に私の両腕を掴み、その胸に私を抱き寄せる。