私がお風呂から上がると、ベッドに転がって藤枝君は熱心に『利用案内』を読んでいるところだった。

「お先にアリガト。藤枝君、どうぞ」

藤枝君は、微笑むと、私に椅子を差し出す。

「ここに座って。これ、フロントのおばさんに貰ったんだ」

藤枝君は冷蔵庫から湿布を出して、私の腫れた右足首に貼ってくれた。

「いつの間に……。有り難う」

「どういたしまして。じゃ、お風呂に入ってくるから、ハルナちゃんもくつろいでて」

藤枝君は私の頭をポンと叩いて、バスルームへと向かう。