私は脱衣所まで来てぎょっとする。

ここのドライヤー、据え付けてある。

移動できないって事は……。

ここでしか、浴衣を乾かせないってことで……。

でも、このバスルームの戸、クリアガラスで丸見えなんですけど。中が……。

「あの。藤枝君、いいから。別に、ドライヤー、かけなくても」

私は冷や汗を流しながら、大きな声で藤枝君に訴える。