私達は二人ともうつむいてエレベータの前に立っていた。

「あの……ふじ」

話しかけようとした私の目の前にエレベーターが到着する。

到着したエレベーターには、今まさに部屋から出てきましたって感じのカップルが乗っていて、熱烈に絡み合うようにキスをしている。

数日前の、かずにぃとのことを思い出し、体が凍りつく。

すごく怖かった。

藤枝君があまりにも優しいから安心してついて来てしまったけど……。

彼だって「男の人」なわけで……。

だから……。

私は、じりじりと後退した。