僕は、フラフラと戸口まで歩いて立ち止まり、否定してくれる言葉を待った。

「さっきのは冗談!」

「ウソだからね!」

でも、彼女はベッドに突っ伏したまま、顔を上げなかった。

僕はほんの少し前に重ねられた唇を、震える手でそっと触れてみた。

「それでも僕は君が大好きだよ、サラ」

それだけ言うのが精一杯だった。

だけど、突っ伏したままのサラが、僕に心を開いてくれることは二度と無かった。