「サラ……」

僕は部屋の外から呼び掛け、ノックをした。

返事は無かったけれど、僕はそのまま扉を開けて部屋に入っていった。

サラは、ベッドに突っ伏して泣いていた。

僕はベッドサイドに腰掛け、サラの頭を撫でた。

「トールが悪い訳じゃない事は分かってるの。でも……。

私はランバート先生にピアノを教えて貰えるようになるまで、1年以上待ったの。

なのにっ!」

「サラ……」

「なのに、どうしてトールはいとも簡単に先生に教えてもらえるの!!」

サラの怒りに満ちた目が僕を凍らせる。