先生の演奏は、簡単な演奏から始まり、段々、複雑になってくる。

でも、それがかえっておもしろくて、夢中で先生の演奏を追い駆ける。

そして、それに慣れた頃、先生と曲が揃い、やがて連弾が始まる。

面白い!

すごく、面白い!!

30分くらい一緒に弾いただろうか。
先生が興奮しながら、僕の両腕を強く掴む。

「素晴らしい!私はこの出会いを神に感謝したい!!

トール君、どうだろう。

私にピアノを教えさせて貰えないだろうか」