2人は僕の心を蝕むPTSDの病魔を、母から聞いて知っていたようだった。

僕の心の傷を少しでも癒そうとしてくれたんだ。

「サラ、ピアノを貸してくれる」

僕はこの日のために特訓した「エリーゼのために」をサラのために弾いた。

演奏を終え、頭を下げると、ピアノの先生がガタンと椅子から立ち上がり、つかつかと僕の方へやってきた。