かずにぃが、タクシーを呼ぼうとケータイのボタンを押し始めた時、とっさに、私はかずにぃの手に自分の手を重ねる。


「かずにぃ。私、待てるよ。

まだ、こんな時間だし。

せっかく、海の近くに来たんだから、お散歩でもしながら頭冷やして考えてみようよ」


「……遅くなるかもしれないぞ」


「いいよ。かずにぃと一緒だから大丈夫」