僕は右手の中にある彼が部屋を出る時に咄嗟に後ろ手に手渡したくしゃくしゃになった名刺を、マミィに気付かれないようにそぉっとパジャマのポケットにしのばせた。


『ワシントン・ポスト紙
 記者 ヒューバート・キンケイド』

彼は何かを知っているんだ。

それはきっと僕の出生の秘密に繋がるのかもしれない。

そう直感したんだ。