背後に人の気配を感じて振り向いた瞬間、1人の男に腕を捕まれ、口を塞がれると、近くに止めてあった車の中に引き摺りこまれてしまった。

男は僕を助手席に乱暴に放り込むと、車を急発進させた。

男からは不快な臭いがした。

年は50代くらいだろうか?

前を見据えて運転している目には生気がない。

ドラッグでもしているんだろうか?

じっと観察している僕に気付いたのか、男は無言のまま僕に一瞥をくれると、ニタリと笑った。