その日も、とても優しいピアノの音がした。

「今日はトロイメライか」

優しく包むような温かい音。

僕が窓の下に腰を下ろして聞いていると、ピアノの主は、弾くのを止めて窓辺にやって来た。

その主は勢い良く扉を開け放つと、僕に向かって叫んだ。

「誰?そこに座って盗み聞きしているのは!!」