風が強くなってきたのか、ざわざわと海面を荒らしながら吹き抜けていくのが見える。


私の心臓が、まるでその風に煽られるようにどんどん速くなっていく。


「え?!動かない……の?でも、鍵の電池を交換すれば……」

「まぁ……それはそうなんだけど……やったことがないからな……」


かずにぃが色々な角度で鍵を触ってみたけど、まだ買ったばかりでどうやって鍵が合わさった凹み部分を開けるのか分からないみたい……。


「くっそ!わかんねぇ!」


イライラしているかずにぃと目が合い、一瞬の沈黙が流れる。