僕は押しのけようとする夫人の手を払った。

僕はおじさんの顎が突き出るようになるまで、前頭部に手を押し当て気道を確保し、夫人に懇願した。

「おばさんしか助けられないんだ。お願いだから僕の言うことを信じてやって下さい」

とにかく呼吸が停止してからどれ位経ったのか分からない。

説明と同時に実践してもらわなくてはいけなかった。

心肺蘇生は時間との戦いだ。


「僕がカウントをとるから、おばさんはしっかりと腕を伸ばして、この位置を押して下さい」

僕は心臓マッサージの位置を示し、手の置き方と力の加減を教えた。

「こんなところ押してどうなるの!!」

僕が指示した胸部を指差して夫人は叫んだ。