「先生!来て下さい!主人を診てください!」

狼狽した声で叫んでいる年配の女性の声に僕は振り向いた。

ダディもマミィも他の患者の手当てで手がいっぱいだった。

女性が指差すほうを見ると、旦那さんらしい人がぐったりとシートからずり落ちるような格好で座っていた。

急いで、隣の空いてる席に座り、僕はおじさんの鎖骨をトントンと叩く。

「起きて。目を開けてください」

小さい声で耳元で囁いてみた。

意識が無い。