「日本になんか来ない方が良かった」

飛行機に乗り込みながら、僕はそっと呟いた。

そうすれば、何もかも気付くことはなかったかもしれないのに……。

おばあ様たちに歓迎されていないことも。

僕は本当は日本人なんかじゃないのかも、ってことも。

そして、僕が、異常だってことも……。

僕は飛行機のシートに深く腰掛けると、窓の外に顔を向け、頬を伝う涙を両親に見られないよう長袖で拭った。