ある日、幼稚園から帰るとダディは僕をリビングへと連れて行き、膝の上に乗せて抱きしめた。

「徹。アメリカに帰ろう」

その時、僕は生まれて初めて抱きしめながら震えるダディの涙を見た。

アメリカへ帰る準備が慌しく過ぎていった。

幼稚園では、お別れ会を開いてもらい、沢山の心もこもった手紙を貰った。

僕は家に帰ると早速ダディにこの手紙を見せたくて、書斎をノックした。

ダディは書斎で座ったまま、机に突っ伏して寝てしまっていた。