僕は楽しくて、夢中になって関数や微分、積分と言った問題を解いていった。

その頃には、もう、先生の目は「異質のものを見る目」に変わっていたと思う。

アメリカに帰るべきか。

いや、日本に残るべきだ。

毎夜、そんな話をしていた両親に、ある朝アメリカからエアメールが届いた。

僕はポストに入った癖のある字で書かれたエアメールを取り出すと、マミィに渡した。

マミィは一瞬躊躇しながら震える手でその手紙を受け取った。

「じゃ!マミィ!ダディ!行って来ま~す」

僕はその日も意気揚揚と幼稚園バスに乗り込んだ。


そのメールがこれからの僕の人生を大きく変えるとは夢にも思わずに……。