「何か、紙とかある?」

藤枝徹君がペンを持って書くしぐさをする。

急いで、バッグからメモを破って彼に渡す。

彼はサラサラと何かを書くと、私の手のひらにメモを返す。

「大丈夫?さっきので、もし具合悪くなったらここに電話して。絶対だよ」

渡されたメモを見ながら、コクンとうなずく。

電話番号だ……。

男の子に電話番号教えてもらったのなんて初めて。

彼といつも一緒にいる友達の一人が手を振って叫んでる。


「おーい!トオル!!早く降りないと閉まるぞ~」

「じゃ。本当にごめんね」


彼は手を振りながら、走って電車から降りて行く。