そう言うと、彼女はオレの服の襟元を掴み、オレの唇に噛み付くようなキスをした。

あまりにも突然なことでオレが呆気に取られているオレに、

「あんたなんか死ね!」

と捨て台詞を吐いて、彼女は教室から出て行ってしまった。

毒気を抜かれたとはまさにこのことだ。

その時は、まさかオレがこの吉澤えり子と付き合うことになる、なんてことは夢にも思ってもいなかった。