「ナニーって?」


生まれて初めて聞く言葉に首を傾げる。


「ええっと、ナニーっていうのはお手伝いさん兼家庭教師みたいなもんかな。

僕の家にそのナニーがいたんだ。

中国には北京語、上海語、福建語、広東語と言った幾つかの言語があって、その中でも、ナニーが教えてくれたのが、この子が話している上海語と北京語で……」


私は何気なく話す藤枝君の小さい頃の事を聞きながら、彼が全く違う世界の住人のような気がしていた。