藤枝君に手を引かれて浜を横切っている最中に、最初の花火が上がった。

みんな歓声を上げて、花火に魅入っている。

藤枝君、一体どこに行くの?

「待って!」

草履だから、そんなに速く走れない……。

「ごめん!もうちょっとだけがんばれるかな?」

藤枝君は強引に手を引いて、急いでいるのか歩を緩めない。

「待って!あっ!!」

私は浜から上がる途中の階段に躓いて足を取られてしまう。