「そこまでさせてしまう藤枝君が凄いんだよ」

私がクスクス笑っているとトモがものすごい形相で、藤枝君目掛けてズンズンと歩いて来る。

ギョッとしたトオル君は私の手首を掴むと、シートの近くに並べられた自分の靴と私の草履を引き寄せる。

「とりあえず、脱走しよう。一緒に来て!」

彼は私が草履を履くなり、瞬く間に私を共犯者に仕立て上げ、浜から連れ出してしまったんだ。