動揺するトモを抱き締めながら、私は顔を上げて2人を見る。

そして、次の瞬間、ぞくっと総毛立つ。

カズトの拳を紙一重でかわし、いとも軽々とカズトを扱うトオル君の姿に慄然とする。


まさか……。

トオル君……今まで……わざとカズトに殴られていたの?

カズトの怒りを受け止めるために……?


私は、トオル君のその訓練された無駄の無い動きに鳥肌が立ち、震えた。