カズトは私のバッグにぶら下っていた『安産祈願』の赤い巾着のお守り袋を手に取り、微笑む。

「お前もついにこういうのにすがるようになったか」

「うん。可愛かったから買ったの。……りんご、剥くね」

「小さくて可愛いな。でも、刺繍とかすげぇ、凝ってる……」

カズトはお守り袋をいじりながら感心している。

私は後ろめたさに堪えきれず、カズトに背を向け、りんごを剥き始める。