「新幹線はまだ出ているから帰れなくもないけど……」

トオル君の腕が一瞬強く私を抱きしめる。

「君を帰したくない」

更に私を抱きしめる腕に力を込める。

だけど、彼は腕を解くと、私の両手をそっと握った。

「……嘘だよ。帰ろう」