私ははっとして左手の薬指を見る。

カズトの指が、私の左手を引き寄せ、その薬指にリングを嵌めていた。


『学生の身で100万円はさすがに無理だけど……

いつか本当に高いの買ってやるからな』


照れ笑いしながら手を振って、玄関を出るカズトの影が鮮明に浮かぶ。