顔を上げると、窓から細く光が差し込んで目を突く。


その光を辿り、ゆっくりとブラインドを開けるとその光の正体が月明かりだと気付く。


もう、夜なんだ……。


今頃になって震えが体を襲い、その場にしゃがみ込んでしまう。



さっきどうして、とっさに藤枝君の名前を叫んでしまっていたんだろう。


それに、リョーコさんが帰ってこなかったら今頃、どうなっていたんだろう。


両手で震える体を抱き締める私の頬を涙が伝い、月の輪郭は見る見るぼやけて朧月夜になっていく。