一瞬、何が起こったのか分からなかった。


後ろを振り返ると、カズトの手に握られていたはずの子機が壁に叩き付けられ、粉々に壊れていた。

……怖い。

さっきまで優しく笑っていたカズトが、今、こんなにも怒ってる……。

こんなに怒りに満ちたカズトの目を見るのは初めてだった。


足が竦み、恐怖が湧きあがってくる。