タクシーは10分もしないうちに僕の別荘に着く。

「濡れるよ」
「藤枝君こそ」

差し出す僕の傘を、君は押し返す。

ずぶ濡れになっている君が心配で、

「とりあえず、シャワーを浴びた方がいい」

と、掛ける言葉に

「直ぐに帰るから……。薬と包帯は?」

……取り付く島もない。