「……やっぱ、まだ、帰したくないな」


ボソリとかずにぃが囁く。


「え?」


振り向くと、かずにぃがドアノブを掴む私の手に重ねた手に力を込めて戸を押し戻す。


扉はバターーンと音を立てて再び閉じられてしまう。



「かず……にぃ?」



重ねられた右手はすっぽりとかずにぃの手の中に収まっていて、動かそうとしても全く動かせない。