「でも、あなたは今、僕を『ドクター』と……」

「ああ!」

彼はクスリと笑う。

「あなたはご存知ないかもしれないが、私も奇蹟の生き残り組みなんですよ。

あなたはまだ11歳になるかならないかで、研究所のチーフになられた。

が、私は、全くの普通の人間であなたにお目通りすらかなわなかった……」

彼の思い掛けない告白に僕は、立ったまま言葉を失う。