いい加減、疲れて足が折れた頃、一陣の風がさぁっと道脇の草原を渡り、あの日のハルナの声を連れてきた。



『トオル君と出会わなかったら、こんな世界があるなんて知らなかったよ』




……僕もだよ。ハルナ



君に会わなかったら、僕はきっと温もりを知らなかった。


闇の中をずっとあのまま彷徨っていたのかもしれない。