黒い雲は月を深くそのヴェールの中に隠し、僕は真っ暗闇の中に取り残される。



退院したての弱った体を夜の冷気が包み込み、体温を容赦なく奪っていく……。



そう言えば、今朝は朝から何も食べていなかったっけ……


指を擦るとコートの襟を立てて、闇の中、街を目指した。