人が悪いな。

僕は、心の中でむっとする。

「……どこから見てたんだ?」

「勿論、最初からだよ。母のアレは病気でね。あなたも災難だったね。

だけど、あなたの美しい顔が焦り、動揺しているのを見ているとおかしくて……。

止めがたくなってしまって、つい……」

トーマスは最初は堪えてくっくっと笑いを噛み殺していたようだけど、後ろを振り返って答えた瞬間、先ほどの僕の無様な格好を思い出したようで、ぶぶっと吹き出す。