「私ほど不幸な女はこの世にはいないわ。

ロナルドは絶対出世すると両親が言ったから嫁ぎましたのに……。

それが、さして出世もせず、精神を患ったとかでラボに入院しましたでしょう?!」

夫人は僕の膝に置いた手を今度は肩まで這わせ始める。

「その上、離婚話もそぞろに自殺なんて、酷い話ですわ!」

遂には僕の胸にしがみ付いて号泣し始めた。