僕達が病院の自動ドアをくぐろうとした時、もう一台のタクシーが丁度、滑り込んでくるところだった。

そして、タクシーの中からは血相を変えたハインツが転がるように飛び出してきた。

「ハインツ?!」

ハインツは僕の元に走り寄ると、僕の腕を満身の力を込めて握り締める。

「トール。大変なことになりました!」